その〝機械〟は、最期まで〝自分〟であることを選んだ。
使用人アンドロイドであるルルシェルトとアンシェルテは、ある日、主人であるテオドールから、〝御主人様〟の墓参りに誘われる。
〝御主人様〟――それは、かつてこの大きな屋敷に住んでいた藤ノ杜 鈴乃という女性のことである。
テオドールもまた、彼女に仕えていた使用人の一人なのだった。
彼に連れられ二人が降り立った場所は、美しい花々が広大な土地いっぱいに広がる丘だった。
はしゃぐ二人に、彼はぽつりととある名前を口に出す。
その名は、ルルシェルトとアンシェルテ、そしてすべてのCiao=シリーズにとって特別な意味を孕むものだった。
興味を示した二人は、テオドールに思い出話をねだった。
語られたのは、とあるアンドロイドの人生の一部始終。
終わりを迎える〝機械〟。その願いとは――
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